夢見る瞳

あの人の瞳途方もなく 夢見るような瞳どこかを見つめているようですべてを見ているような何時も何かに憧れ続けているような瞳ぼくは彼女の瞳の中に吸い込まれていきそうだその夢見るような瞳に ああ、世の中のすべての人が夢見る瞳をもって生きていくなら戦争などない 平和な世界がもっと もっと 優しさに満ちた世界がもっと もっと 生きていてよ…

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命の旗

父を 母を 妹を見てきた幼い時からぼくの瞳はそして 今でも故郷の風景が見える故郷の人々がみえるこれがお前の国だとこれがお前のすてた国だと 何時の頃からか鏡に中の自分を見てきた何時も軽蔑し ののしり合ってまた 多くの友を見てきた日本の町々 山々 海を見てきた 泣きながら 多くの小説を読んできた涙と共に 映画も見てきた苦しい胸の下か…

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変身

悪夢にうなされ 目が覚めるとぼくは、一匹の毒虫になっていたあのグレゴール・ザムザと同じカフカの変身 ぼくは カフカの変身を一瞬にして理解したそれは さびしいカフカの変身それは 苦しいぼくの変身それは なんと悲しいカフカの変身それは なんと汚らしいぼくの変身そして グレゴールは死にぼくは まだ生きている 友人が足でぼくの体をつ…

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動かぬ犬

いつの日にか 犬はいつもそこにいた炎天下の道路の真ん中に うずくまっていた鼻を鳴らして ないていた激しく車の行き交う中にいた夕立の降りしきるときも そこにいた耳をたれ ドライバーを見上げていた 犬の心は そこでひき殺された仔犬の思いで いっぱいだった心ないドライバーに 怒り狂うこともなくただ 我が子の死に絶望していた「この子を亡く…

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夏の日

暑い夏の午後のことでした太陽の光が目にしみる日でした大学のキャンパスは緑に包まれその向こうには入道雲蝉の声が賑やかでしたぼくは ひとり机に向かいぼんやりと窓の外を眺めていました 遠い昔の日々ぼくの少年が情熱を抱いていた故郷が南の国が映じていました少年の生きた夏の日々そのときも暑い日々蝉の声濃緑の木々突き抜ける青空昇る入道雲山々の峰…

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